From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
今回は利益管理について、まずどのようなビジネスであろうと最大の動機は「利益」でなくてはならないということを話したいと思います。こうした人たちは優先事項を混同してしまっているのです。
利益以外のことを重視して下された意思決定は、たいていの場合間違っています。
利益に関連することの1つに価格決定があります。ほとんどの人々が、自分達の商品やサービスの価値を低く見てしまっています。
私の経験から言えば、消費者の購買意思やビジネスの成功を決めるうえで、価格はそれほど重要ではありません。
実際、私ならピンからキリまでの価格帯で一番高い価格をつけます。
そして競争相手に、より良いものを提供することよりも、より安く売らなければと思わせるのです。
その価格設定、安すぎて失敗していませんか?
私の知り合いに大成功しているカイロプラクターがいます。彼の地域には、3,500円~5,500円も安い価格で治療してくれるカイロプラクターがたくさんいます。
それにも関わらず、彼の診療所はどこよりも繁盛していて、近隣の競争相手3人を合わせた以上の利益を上げています。
これは例外ではなく、ビジネスのルールです。
私がコンサルティングの依頼を受けて、たいていいつも最初にやることが「値上げ」です。それが劇的な変化をもたらすことも少なくありません。
かつて私が相談をうけたことのある講演者は、それまで講演料を低く設定していました。私たちはすぐに、講演料を1日120,000円から350,000円に値上げしました。
彼はトラウマ状態にありました。しかし、文句を言う人も若干はいたものの、既存顧客は一人も失うことなく、さらに新規顧客獲得ができました。
価格をウリにすることは、最も怠惰で、最もリスクの高い方法なのです。
安い価格をつけて顧客を増やすことは比較的簡単ですが、価格だけでビジネスを維持していくことは困難です。
ほとんどのビジネスで、瞬時に利益を増やすことのできる方法の1つは、価格を上げることです。価格を安く設定して、なかなか値上げに踏み切れない人が多すぎます。
言うまでもなく、この問題を解決するだけで利益を大幅にアップさせることができます。
通販ビジネスから学んだ教訓
第2の利益を上げる方法は、新規顧客を増やすことではなく、既存顧客一人ひとりとの取引量を増やすことです。
通販ビジネスから私が学んだ教訓は、
「購入者は購入者であり、購入者だ」
ということです。
頑張って新しい顧客を一人増やすよりも、あなたの商品やサービスに満足している顧客の購入額を増やすほうがずっと簡単で、より多くの利益を得ることができます。
ラッセル・コンウェルの名著である、『ダイヤモンドを探せ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を毎月一度は読むべきです。
この偉大な本では、あなたの身近なところでチャンスを見つけることの重要性が繰り返し説かれています。
経済的メリットを考えた工夫
第3の利益を上げる方法とは、コスト管理のことです。注意して見ていなければ、いとも簡単に膨れ上がるのがコストです。
私は自分のビジネスで発生するコスト要因を常に把握し、再検討の必要がないかどうかを確認しています。
あなたにその気があるのなら、値上げするときは事前に書面で通知してもらうよう取引先と契約を交わすべきです。
また、送られてきた請求書を以前の請求書と定期的に見比べてみるとよいでしょう。
そして、給与や仕入れなどの各コスト項目が総収益に占めるパーセンテージをあらかじめ設定しておき、毎月チェックする必要があります。総コストが決められたパーセンテージを超えている場合は要注意です。
私が心がけていることは、マーケティング費用をかけずに既存顧客からの売上を伸ばす方法を見つけることです。
通販ビジネスでは「バウンスバック・オファー」という手法で比較的簡単に行うことができます。
注文商品を発送するときに、別の商品を紹介するパンフレットを同梱するという手法です。販促資料を商品と一緒に送れば、郵送料も広告費もいりません。
通販会社の多くは、非常に効果的で洗練された独自のバウンスバック・マーケティング・プログラムを取り入れています。発送する商品の箱に、何種類ものカタログを入れている会社もあります。
商品を発送することがなくても、毎月の利用明細や請求書を送ることがあれば、同じ手法を使えます。
あるいは小売店であれば、お客さんが持ち帰る袋の中に販促資料を入れることもできます。
サービス業の場合は、販促資料をサービス提供者が手渡しすることもできるでしょう。
ネットビジネスの場合は、「ありがとうございました」のページで他の商品を紹介すべきです。
商品やサービスを届けるときに、次の購入を促す宣伝をうまく組み合わせ、経済的メリットを得られるような工夫をしましょう。
もう1つの利益拡大方法
さらに深く掘り下げて考えてみましょう。実はもう1つ、利益拡大方法があります。
それは、回収額を増やす方法です。
多くの企業は、支払期限を過ぎた売掛金の回収に頭を悩ませています。
私のビジネスでは、たとえビジネスの性質上掛売りが必要となる場合でも、そうした問題が起こったことはありません。販売とはお金を支払ってもらうまで完了しないと私は考えています。
効果的なマーケティング戦略といえるものは、回収不能となるような売掛金の発生を防止できなくてはなりません。
前払いや即時支払いに対してはディスカウントしたり、特典をつけるのも良い方法です。
ただし、すでに深刻な売掛金問題を抱えている場合には、その問題を一掃して正常な状態に戻すための行動を一刻もはやく取ることを勧めます。
お金を払えない、あるいは払う意思のない顧客との関係を保つことには何の価値もなく、回収問題を放置しておいても事態が悪化することはあれ、改善されることはありません。
回収額を高めるためのマインドセットとは?
今日のビジネス環境では、歴史のある有名な大企業でさえも経営がうまくいかず、破産に追いやられる可能性があります。
このような状況で、債権者であるあなたが何年も支払いを待っていたところで、回収できるのはほんのわずかな金額かもしれないのです。
大企業に対しては何の躊躇もなく支払期限を延長しているベンダーが多いのですが、それではいけません。
私が経営している会社は、Fortune 500に名を連ねる企業や専門家、政府機関などと取引していますが、提供する商品やサービスに対して前払いしてもらっています。
私の会社でできることが、なぜ自分の会社でできないのかと誰もが言います。
問題を抱えた会社を健全な状態に戻す過程で私が学んできたもっとも重要な教訓の1つは、傾向そのものがひっくり返ることは滅多にないということです。
傾向が変わるのではなく、人々が傾向を変えるのです。
問題解決のための行動をぐずぐず先延ばししていても、問題が自ら去っていってくれることはありません。
「行動重視」の考え方は、悪い状況にも良い状況にも、反応的行動にも積極的行動にも当てはまります。あなたのビジネスで何か正しくないことがあると直感したときは、それが何であるかを徹底的に調べて是正措置をとらねばなりません。
「すでに手一杯の仕事を抱えているのに、どうしてわざわざ面倒なことに巻き込まれる必要があるんだ?」という感じで、問題の兆候に気付いていながらも無視を決め込む人たちがいます。
中国語では、トラブルと危機を表す記号が、機会を表す記号と同じであると教えられたことがあります。素晴らしい知恵です。
ダン・ケネディ
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