しかし、ソファーには座れなくても、その周りにある椅子に腰掛けることができますので、今は、その椅子に座ったまま、ぼぉーと説明を聞いています。
店頭販売のトークスクリプトは、参考になることが多いので、どんな話しを聞けるのか、ちょっとワクワクしています。
販売している商品は、毎日20分座るだけで、自律神経が整い血行がよくなり、ホルモンバランスが整い代謝が上がり、内臓機能がアップし、血液が浄化され、女子力がアップする健康グッズだと、表の看板に出ています。
これは、、、、利点しかかかれていないので、ちょっと減点ですね。もう一歩踏み込んで、ベネフィットまで書いて欲しいところです。
例えば、自律神経が整うので、朝早く起きても辛くないとかですね。
でも、まぁ、スペースの問題もあるし、なんといっても、対人販売です。そこは、お得意のトークで攻めているのかもしれません。
さて、そのトークですが、まずは、座っている椅子の振動を感じてもらい、どうして効果があるのかを科学的根拠をもって説明しています。
体験とそれにともなう効果を具体的に説明していますので、かなり説得力がありますよね。なかなか良い感じです。
そして、即効性がないという欠点を暴露しながらも、副作用がないという説明が続いています。ふむふむ。欠点をうまくかわして、利点に変えました。なかなかやります。
続いて、「この椅子に座ると寿命が延びるのですか?」という質問をよくされるのですが、、、というトークです。このトークの意味、わかりますかね?
「よく質問されるのですが、、、、」という前置きのあと、自分の言いたいことを言うパターンですね。Q&Aをうまく利用する方法です。
いきなり言ってしまうと、唐突感がありますが、こういう風に前置きされると、抵抗なく受け入れることができます。ましてや、わたしの通っているジムは、かなり高齢者が多いです。トレーニングをしている理由のトップはやせたいではなく、長生きしたい。でしょう。
なので、椅子についての質問も、寿命に関することに関連づけることにより、興味を引きつけています。
しかも、このお兄さんは、「寿命は延びませんが、健康寿命は延びます」と言っています。
おそらく寿命を延ばす効果は少しはあるでしょうが、「寿命が延びます」といってしまうと、とても胡散臭くなります。
ですが、それよりも、小さい効果である、「健康である期間を延ばす」とい説明をすることにより、より納得度が増します。おぉ~。良い感じです。
さらに、温熱パッドをもちいると椅子の効果がアップしますので、ぜひ、お試し下さい。というアップセルまでつきました。
終了間際には、ぜひ、ご友人やご家族の方も連れてきてくださいね。という紹介を依頼することも忘れていません。お見事です。
そして、「ビー」とブザーがなり、椅子に座っていたおばさんの時間が終わりました。
これで終わりかな?と思っていると、なんと、血液検査のようなことをして、おばさんの身体状況をさぐっています。少しずつ赤みが増しているので、健康になりつつありますね。と一言あった後、おばさんは、トレーニングに向かいます。そのとき、衝撃的な言葉を聞きました。
それは、・・・・・「また、明日もお待ちしています。」
というセリフです。
すごい。すごいですよ。これは。
いつもの健康器具だということで甘く見ていた頭をガツーンと殴られたようです。
・・・・・
さて、どうすごいのか?マーケティングを学ばれている優秀なあなたのことですから、きっと、わたしと同じように、そのすごさにビックリしているハズです。
1つずつ見ていきますね。まず、実施期間です。ほとんどの健康グッズ販売は、せいぜい1~2週間。それが、今回は、約2ヶ月に及ぶわけです。4~8倍も長いわけです。
どうして、こんなにも長いのだろうと不思議でしたが、マーケティングの観点からすれば、うなずける長さです。実施しているのは、椅子に座るだけ効果出るという無料お試しです。無料お試しのポイントの1つは、効果が出るまで試してもらうことです。1度座るだけでは、絶対に効果はでません。ですので、効果がでるまで、何度も何度も、試してもらう必要があります。
なので、1~2週間という短期間では、効果を出しにくいので、2ヶ月という期間をとっているわけです。また、最初は、わたしように「誰?」と胡散臭い目で見ている人も少なからずいるわけですから、すぐに試してもらうことはできないですよね。そういった意味でも、この長さは納得できます。
さらに、先ほどの言葉、「また、明日」です。
1日10分座るだけですが、毎日毎日座ることで、お客さまとの関係は、グーンと増します。
心理学で言うところの、「ザイアンス効果」ですね。接触頻度が多いほど、好感度を増していくという効果のことです。
最初は、胡散臭く見えても、毎日毎日、接することにより、胡散臭さが減少し、ちょっと試してみようかな?と思い、椅子に座ってみる。
椅子に座るとなんとなく気持ちがいいし、検査もしてもらい、よくなっていると言われると、気分もよくなっていきますよね。
そして、検査の履歴を控えることにより、ますますお客さんとの関係が深まっていくわけです。
とどめが、「また、明日もお待ちしています」です。
「どれだけ、仲良くなったん?」と感じさせます。
これで、最終日に近くなるとよくなっている証拠として、データを見せることで、背中を一押ししてあげると、相当の販売が見込まれます。
本当に、見事なマーケティングです。トークスクリプトも素晴らしかったですが、効果が出るまで、無料お試しを実施しているというこの手法ぜひ、見習いたいモノです。
あなたも、無料のお試しをしていたり、無料サンプルを配布していたりするのであれば、効果が出るまで、試してもらうことを忘れないで下さいね。
効果が出れば、購入までは一直線です。
ー中森清久
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