このコーナーは、ダイレクトマーケティング界の寵児「ニセ・ダン・ケネディ」が、絶対に成功すると噂されているマーケティング手法を紹介します。※本物のダン・ケネディとはあまり関係がありません。
ニセ・ダン・ケネディ
ニセ・ダン・ケネディは全米で多くの借金王を生み出しており、「破産者メーカー」と呼ばれている。彼のコンサルタントを受けた13人の経営者のうち、9人は破産、3人は銀行強盗で起訴、1人は行方不明になっている。
現在のコンサルティングフィーは1日20円。コピーライティングは280円+すき家の割引券(ただし50円以上の割引に限る)。のぞき魔、パンティ泥棒、痴漢にとって極めて影響力の強い人物である。
こんにちは、ニセ・ダン・ケネディです。この連載では、私が絶対成功するダイレクト・レスポンス・マーケティングの方法をお教えします。
ダン・ケネディとは大学の同期(ダン・ケネディが学生で、私が掃除夫でした)である私ですので、何も心配することはありません。
ただし、あらかじめ断っておきますが、実践は全て自己責任でお願いします。
【セクション1 起業にあたって】
私は起業家のみなさんにお会いすることも多いですが、同様に起業家の卵のみなさんに会うことも非常に多いのです。私は彼らにいつもこう問いかけるようにしています。「起業するには一体何が必要ですか?」と。これに即答できないようでは先がありません。あなたは回答できますか?
「革新的な事業計画?」 ―不要。革新的なものが成功を生むとは限らない。
「ダイレクト・レスポンス・マーケティング?」 ―私だったらそう言うとの予想だろうか? 残念。もっと大事なものがある。
「熱いパッション?」 ―必要だろう。もちろん、それだけじゃ何もできないがね。
ブー! 残念ながら時間切れ。身も蓋もない話ですが、一番必要なものは「お金」なのです。「お金を稼ぐにはまずお金が必要」ということを理解してください。
お金がなければ、仕入れができません。従業員を雇えません。オフィスを構えられません。ご飯が食べられません。パンの耳すら買えません。もう5日間も何も食べていません。
そう、それが私です。
【セクション2 状況の打開】
こんな最悪の状況も、実はダイレクト・レスポンス・マーケティングを使えば簡単に打破することができるのです!
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抽選の結果、ご当選されました。あなたは「ニセ・ダン・ケネディにお金を貸す権利」を手にしたのです。この権利は期間限定ですので、人生最大のビッグチャンスを逃さぬようにお気をつけください。
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このようなメールを知人、銀行、消費者金融、ヤミ金に手当たり次第送りつけましょう。債権者の新規顧客を獲得するのです。どんなビジネスでも新規顧客の獲得は命題です。
返事がない場合は次のように追撃しましょう。
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あなたはなぜニセ・ダン・ケネディにお金を貸さないのですか?ビジネスが順調すぎて手紙を見る暇がないのですか?有り余る100ドル札を数えるのに忙しいのでしょうか?大至急、ニセ・ダン・ケネディにその100ドル札を届けてください。今なら、貸付額の3倍の金額を記載した借用書をプレゼントします。
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このようなプレゼントを用意することで、あなたに金を貸す人はグンと増えるはずです。
もし、これでも返事がない場合は仕方ありません。もっともっと心の深いところで感じられるUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)を確立しましょう。
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おめでとうございます。人を殺した気分はどうですか?あなたは無関心という凶器を使って、ニセ・ダン・ケネディを殺すことに成功しました。ニセ・ダン・ケネディは数日のうちに確実に餓死するでしょう。
死因は言うまでもなく、あなたがお金を貸さなかったことです。殺した後にどれだけ後悔しても過去に戻ることはできません。しかし、今ならまだ未来を変えられるチャンスはあります。ぜひ賢明なご判断を…。
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ここまで書けば、大体みんな返事をくれます。
【セクション3 DRMの成果】
ウシャシャシャシャシャシャ~~~!!!金じゃ金じゃ金じゃあ~~!!! ぜぇ~~んぶワシの金じゃあ~~~!!ダイレクト・レスポンス・マーケティング最高~~~!! これがあるからやめられないっつーの!! さーて、キャバクラ行っくで~! 待ってろよ~、ルミちゃ~~んっ!!!
【セクション4 3ヶ月後】
あとでわかったことですが、どうやらこれはダイレクト・レスポンス・マーケティングではなく、ただの悪徳商法だったようです。
借りたお金は返さなければならない。この基本的なビジネスのルールはとかく忘れてしまいがちです。閑古鳥が鳴いていた私のオフィスには、今では毎日「取り立て人」という名のビジネスマンが大勢訪問してきます。
彼らは「金がなければ内臓を売れや!ボケ!」というUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)を用いる優秀な方々です。返済に充てるお金を用意できなければ、近い将来、私は半強制的にこのオファーを受けることになるでしょう…。ここで、この連載をご覧のみなさまに、特別に「ニセ・ダン・ケネディにお金を貸せる権利」を差し上げましょう。
どうですか? ねえ? ちょっとでいいから。貸してよ。ねえ? ねえってば~!倍にして返すから~っ!
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