From:ダン・ケネディ
From:ダン・ケネディ
アメリカで売られている「視力にいいサプリメント」の広告が、ある媒体に出ました。その媒体は、航空パイロットのための雑誌でした。このサプリメントは、別にパイロットの視力向上をうたったものではありません。むしろ、多くの媒体、市場で売られている一般的なサプリメントです。
しかし、この雑誌の特定の読者のためにバージョニングされ、カスタマイズされた広告を載せたことによって、非常に大きな反応を得ることができました。
具体的にはどのようにしたのかというと、あるパイロットが書いた一人称の「お客様の声」という形の広告にしたのです。
これによって、使われている言葉は読者にとっても正しいもので、パイロットなら「わかる」と感じられる文になっていますし、単なる一般向けの広告にはない「本物感」が出たのです。
読んでいる人はほぼ全員パイロットですから、読者は「私に直接、関係のあるものだ」「私に向けて語られているものだ」という気持ちになります。
大勢の人たちのために作られたものに比べて、興味の度合いが限りなく大きくなるのは当然です。
この商品の広告をパイロット向け雑誌に掲載する場合、一般向けの、ごく普通の広告を載せても、十分な売上を上げることはできないでしょう。
しかし、パイロット向けにバージョニングされた広告によって、大きな反応を得ることができたのです。
このように、掲載される媒体に合った、あるいは想定される読者(視聴者)に合った広告にカスタマイズするのが「バージョニング戦略」です。
この方法では、実際にはUSP(ユニーク・セールス・プロポジション)を持っていない商品でも、広告によってUSPを作り出すことができます。
パイロット向け雑誌にも、ゴルファー向け雑誌にも、釣り好き向け雑誌にも同じ広告を打ってしまうというのは、読者に「自分に関係のある商品だ」と思ってもらう作業を読者に委ねてしまっていることになります。
それは「戦略」とはいえません。
この「バージョニング戦略」にはさらに続きがあります。
例えば、広告に電話番号を記載したとしたら、その電話に出るオペレーターに「はい、こちらはパイロット用サプリメント『○○○』のオペレーションセンターです」と言うように教育するのです。
要するに、すべて媒体で一貫性を保ってバージョニング戦略を行うのです。
「やりすぎではないか」って? そんなことはありません。
こうすることによって、お客様に安心して商品を購入することができるようになるのです。
ダン・ケネディ
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