From:小川忠洋
西宮のオフィスより、、、
「え?何も進んでないじゃん!」先日、会社であるメンバーと打ち合わせをしていた時の話。重要なプロジェクトを任せていたのだが、そのプロジェクトの進捗が、とにかく遅かった…1週間前に打ち合わせをした時と、1週間後でほとんど何も変化がなかった…
この1週間、一体何をしてたのか?と彼に聞くと、いろんな事で迷って悩んでいたという。彼はまだ経験が浅いメンバーだったので、いろんな所で、いろんな障害にぶつかっていたようだった(経験の浅いメンバーに重要なプロジェクトが任されたのは見込みがあるからだろう)
ちなみに、こういう場合、根性論に陥ったら終わりだ。部下が動かないのは、気合が足りないとか根性がないとか、最近の若いやつはゆとりで、、、とか言うのは、頭が悪い証拠だと思う。誰だって、自分の能力を発揮して成果を上げたいに決っているが、そのためにどんな”障害”があるかを見極めて(これ大変)その”障害”を取り除いてあげるのが、上司の仕事ではないだろうか。
彼は非常にやる気のあるメンバーなので、なぜそれが”アウトプット”につながっていないのか、不思議だった。なのでいろいろ考えてみた。そしたら1つ気になる点があった。それは何かというと…
彼は経験の浅いメンバーであるにも関わらず、”知識”は豊富だった。いろいろな事例を知っていて、いろいろな情報を集めているようだった。自分で言うのもなんだが、僕とマーケティングの会話をしていて「それ、どういう意味でですか?」「それって何ですか?」とならないのは、おかしい。経験が浅いにも関わらず、全てを理解できる、全てを知っているのはおかしい。。。
つまり、「情報収集」に時間をかけすぎなのである。例えばあるマーケティング・キャンペーンをやるという事になった時、「同じような業界の事例はないか?」「どうやれば上手くいくか、ノウハウはないか?」「何かリソースをまとめたサイトはないか?」などなどなどなど。そのキャンペーンの成功率を高めるために”情報収集”をするわけだが、これが良くない。
というのも「情報」というものは延々と集めることができる。そして、いくら集めたところで、うまくいく確率は、ある時点からほとんど変わらない。つまり、情報ゼロではよくないが、情報が10あるのと1000あるのではそんなに成功率は変わらないということだ。ちなみに情報を1000集めるなら10の100倍時間がかかる事は言うまでもない。
これはダン・ケネディの言葉だがグッド・インナーフと言うのは、つまり「これくらいで十分」という地点のこと。これくらいで十分という所で、情報収集をやめて、実行に移らなければいけない。
しかし何故、われわれは延々と情報収集をしてしまうのか?答えは簡単だ。それには心理的な理由がある。つまり、、われわれはとんでもなく強い、
「失敗したくない」
という感情を持っている。そのため失敗する率を減らすために、情報収集をして、ノウハウを買って(ノウハウコレクターなんかはまさにこの典型)失敗しないように、失敗しないようにと努める。
特にセルフイメージが低いとき、人は失敗を異様に怖がる。このキャンペーンで失敗したところで、人間失格の烙印を押されるわけではない。にも関わらず、失敗すると自分を否定されたように感じてしまう。
ところが…
ところが現実には、確率的に言って、大抵の取り組みは「失敗する」。成功するアイディアと失敗するアイディアとの数を比べてみれば、失敗の方が100倍くらい多いだろう。成功する商品と失敗する商品は、どれだけ全力を尽くしたところで、やっぱり失敗する方が多い。ダイレクト・レスポンス広告で7000億だか8000億だか売ったテッド・ニコラスというお爺ちゃんは(結構その筋では生きる伝説)自分の作った広告で成功するのは7回中1回くらいだと。つまり6回は失敗だと。。。
これは、言われてみれば、当然の事だと思うだろう。野球の打率を見れば、平均すると2割ちょいなわけだから8割は失敗だと。。。
しかしほとんどの人はこれを頭では理解してても、心で受け入れてはいない。感情的に受け入れてはいない。自分のやる「この商品」「このキャンペーン」「この広告」は絶対にヒットすると思ってしまう…しかし客観的に見れば、失敗する確率の方が圧倒的に、圧倒的に、あっっっとうてきに高い。
こんな仕事をしていると、よくお客さんから大きな誤解を受ける。ウチでやってるマーケティング施策とか、セールスコピーとかDMとかは全部、ヒットしてるもんだと…しかし、正直に告白しよう。酷いもんだぜ。打率は。
ほとんどダメ。ほとんど失敗。
これが現実。しかしその現実をベースにビジネスを組み立てなければいけない。つまり「改善」や「テスト」をするのだ。これが文章で伝わるかどうかは微妙なんだけど、つまるところ
という事を、腹に落として理解しなければいけない。そうすれば、情報収集に時間を費やして、自分の不安感を少しでも減らそうと、そんなムダなことはやらなくなる。逆に、少しでも早く「Good Enough」で実行に移して、データを収集したいと思うはずだ。
そのデータ、つまり言い方を変えれば情報だな。を元に、どこかを改善して、またテスト。そしたらまたデータを元にまたテスト。(この間の取り組みは、世間一般では”失敗”と呼ばれる)そして、それを繰り返してたら、いつか、「おっ!」という瞬間が来る。(エンドルフィンがじゅわっと出る瞬間だ)
結論:マーケティングを成功させるための情報は、インターネットや外部にあるのではない。それは、実際の結果にある。そのため早くその情報にアクセスしなければいけない。
この事が本当に腹に落ちれば、”失敗が怖い”という気持ちは全くなくなるだろう。全てはテスト結果。全てはデータにすぎない。そうすれば、どんどんアウトプットが増え、どんどん行動できるだろう
-おがわ
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