From:北岡秀紀
From:北岡秀紀
ある友人と飲んでいた時の話。ひょんなことから髪型の話になりました。
彼は髪型が決まらないと悩んでいました。
切ってもらってすぐはいいのですが、ちょっと日にちが経つと決まらなくなるそうなのです。
正直、切り立てとそうでないときの差は私にはわかりませんでしたが、本人にとっては深刻な問題です。大抵、問題というものはそういうものですので、そこには触れずに、私はある解決策を提示しました。
そうすると・・・彼はめちゃくちゃ驚く共に、私に感謝してくれました。
その私が出した解決策とは「美容室に行くペースを早くする」でした。普段1ヶ月〜1ヶ月半に1回くらいのペースで行っていたので、2週間に1回、行けばいいと提案したのです。
視点を変える
確かに、美容室に行くペースを早くすることは考えたことはあったそうです。でも、月に2回も行くのは何だか気恥ずかしくて、美容師になんて思われるのか?と思って行けなかったのです。
でも、私も3週間に1回美容室に行きます。つまり月に2回いくこともあるわけです。しかも、それは私だけでなく、周囲にもそういう方は山ほどいます。
また、美容師からしても、そのくらいの頻度で来てくれれば売上が増えるから本当は嬉しいはず。むしろ上得意客として、大切に取り扱ってくれるはずじゃないの?と伝えました。
そして、「ジェイ・エイブラハムも2週間に1回、髪の毛カットするらしいよ」という私の言葉が、マーケッターの彼にはダメ押しとなったようで(笑)、月2回、美容室に行くようになり、髪型の悩みがなくなりました。
第三者的に聞けば普通の話に聞こえるかもしれませんが、彼にとっては月2回も行くのは「恥ずかしいこと」とブレーキがかかっていたのです。それを他の人も2回行っている、お店の人も喜ぶと視点を変えてあげることで、月2回行けるようになり髪型の悩みがなくなったのです。
半年来ないお客の本音・・・
また、似たような話でこういうこともありました。
私のクライアントのある治療院の先生によると、4ヶ月来なくなると、また戻ってくる可能性が大きく下がるデータが出ました。
しかし、肩こりや腰痛などは放っておくと再発するはずですから、来ないのはおかしいと感じ追跡調査をしました。
そうすると再発時には、他の治療院を選ぶことがわかったそうです。
それは一度行かなくなって「悪い」と感じていたり、また行くのが「恥ずかしい」と感じているからのようです。
先生からすれば、来なくなる人は少なくありません。確かに来てもらった方が身体にいいとは思っていますが、一度来なかった患者さんだからといって、何か特別な感情を持つことはありません。
でも、行く側からすると何だか「気まずい」のです。
大丈夫だから、と伝える
それを知った彼はかなり時間が経ったお客さんに向けて、「忙しくて来れないという方はたくさんいます。あなたもそうだと思います。でも、痛くなったら直ぐに来るようにしてくださいね。」というような手紙を送るようにしました。
あなただけじゃなく、そういう人はたくさんいるんですよ、ということを伝え。いつでも歓迎して待っているということをしっかり伝える、よく出来た手紙です。
その結果、4ヶ月以上経過したお客さんの戻りが3倍以上になったそうです。
些細なこと?
ここで気付いて欲しいのは、売り手と買い手の温度差です。
3週間ごとに来ることは美容室からすれば嬉しい。でも、お客さんからすると何だか恥ずかしい。
半年来なくても、また来てくれれば治療院側はまたちゃんと診ようと思っている。でも、お客さんとしては行くのが気まずい。
売り手からすればこんな些細なこと?と思うようなことも買い手からすれば、大問題だったりします。
上記の例は、そんな「些細なこと」を些細なこととせず、お客さんにとっての問題ととらえ対応したのです。(美容室の場合は、私が対応(?)したのですが・・・)
その結果、お客さんは喜んで来てくれることになり、利益が増えることになりました。
小さなことに気付こうとすること
お客さんのこういうちょっとした「気恥ずかしい」「気まずい」という感情には、なかなか気付きづらいものです。でも、それに気付くことが出来れば、チャンスが生まれます。
残念ながら、こうやれば気付けますという方法論はありません。お客さんに対して興味を持ち続ける、お客が考えていることは何かを考えようとする。それ以外にありません。
しかし、こういう機微に気付こうとするプロセスそのものが、お客さんに対するメッセージを作ったり、新しい商品を開発したり、セールストークをブラッシュアップしたりに役立ちます。そんな小さなところまで診ている売り手は、ほとんどいないのですから。
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