From:北岡秀紀
From:北岡秀紀
今日は、大阪市内のとある高級ホテルに泊まっています。しかも、宿泊者でも一部の人しか入れない特別フロアなので、めちゃくちゃ楽しみにしていました。「経営計画合宿」という名目がなければ、まァ、泊まらない部屋です。たまに「高級ホテルしか泊まらないんですよね?」みたいなことを言われることがあるのですが、普段はビジネスホテルです。私はどんなキャラなんでしょうか!?
・・・それはともかく話を戻すと「合宿」という名称ですが、ずっと部屋に籠っているわけではありません。
考えに考えて頭が煮詰まってきたら、気分転換に外に散歩したり、カフェに出たりします。
また、ルームメイキングもしてもらう必要があるので、部屋を空けないといけないという事情もあります。
何か違和感が・・・
この時もカフェで色々考えた後、部屋に戻ってきました。
ゴミ箱は空っぽ、ぐちゃぐちゃに散乱していた荷物は整理され、タオルも新しいものに取り替えられていました。石鹸やアメニティも前日に来たときと同じ位置に新品が置かれていました。
でも、何か違和感を感じます。目を凝らして部屋を見てみると、その違和感の理由がわかりました。
それはベッドです。
確かにベッドはキレイに整えられていました。
でも、シーツになんとなくシワがあったのです。
普通、ベッドメイクが終わった後のシーツは、ピンとしわひとつない状態のはずです。
「ん?誰か来て寝た?」・・・わけがありません。おかしい、とベッドの横に目をやると1枚のプレートがありました。
「環境に対する配慮」と書かれ、次のように続きます。「環境保全のため、ベッドリネンの交換が必要な方は、このプレートをベッドの上においていただきますようお願い申し上げます。」
ちゃんと書いてる?
・・・これはおかしい、と私は思いました。
なぜなら、この注意喚起のプレートをお客全員が見てくれている、ということを前提にしているからです。
少なくとも私はこのプレートに気付きませんでした。
そして、案の定、他の合宿参加者の方に聞いてみても、気付いていない人がいました。
通常、高級ホテルの場合、お客はフルサービスを期待します。
ベッドのシーツは替えてくれていて当然と考える人が多いはずです。
そこでもしシーツが替えられていなかったら、お客の満足度はガクンと下がることになります。
ホテルのスタッフからすれば、「ちゃんと書いてある」と言うかもしれません。毎日見慣れていますから、そこに注意書きのプレートがあるのをよく知っています。
しかし、お客の視点からすれば、ベッドサイドにペラっと1枚置いてあるだけのものに気付かない可能性は大いにあります。つまり、伝えているつもりでも伝わっていないのです。
伝えてる?伝わってる?
あなたのビジネスに置き換えて考えてみてください。
例えば、無料サンプルを配る際に、単なる説明書だけでなく、パッケージにも使い方を記載し、さらに使い方DVDも付けて、さらにフォローのメールでも使い方を説明する・・・それだけで無料サンプル後の購入率があがったという事例があります。
これはつまり、無料サンプルが正しく使われていなかったために、見込み客が効果を感じていなかった、ということです。
(そもそも使われていない、ということもありますが。)
また、ある印刷会社の経営者がお客のところにいくと、他の業者にダイレクトメールを発注していたということがありました。
「10数年以上の付き合いなのに、なんでウチ使ってくれないの?」と聞くと、「えっ?お宅、ダイレクトメールもやってるの?チラシだけと思っていた」と言われてしまいました。
印刷会社なんですからダイレクトメールもやっていて普通です。しかも10年以上の付き合いですから知ってくれていていいものなのですが。。。
お客のあなたの会社に対する理解なんて、こんなものです。お客は毎日が忙しくて、あなたの会社のことばかり考えることなんてできません。
つまり、こちらが当たり前に思っていることが、お客にとって必ずしも当たり前ではないのです。あなたが当たり前と思っていて、もしくは既に伝えたと思っていて、お客に伝わっていないことというのは少なくありません。
「伝える」と「伝わる」は違うのです。あなたのメッセージは伝わっていますか?
追伸
このホテルに限らず、エコの名の元に経費削減の意図丸出しのビジネスって多いですね。
そこに小さな不満を感じるお客も少なくありません。
エコは結構ですが、ほんのちょっとした経費削減で売上を落としてしまったら元も子もありません。
もちろん「エコの名の下の経費削減だろ?」と邪推するお客を切るという選択をしているなら、それはそれで構いません。しかし、多くはそこまで考えていないように思います。
【ザ・レスポンス】の最新記事をお届けします