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フォードが落ちたラインアップの穴

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From:小川忠洋

  • 何故、世界最高の人材と大キャンペーンをしても失敗するのか?
  • ビジネスで成功するための究極の方程式
  • 成功者の話に潜む危険な罠

From:小川忠洋

品川のスタバより、、、

時は1950年代。自動車業界の雄、フォード社の会議室は大混乱に陥っていた・・・

フォードは、大量生産で自動車産業を引っ張って来た業界の覇者。当時、最高の人材が揃っていた。そこに、極めて優秀な、今で言う所のMBAを取ったようなビジネスの専門家がやって来た。

そして、フォードの自動車のラインナップを調査した。すると、、、小型車から大型車、高級車から大衆車まで手広く生産していたフォードのラインアップには、穴がある事が分かった。高級車と大衆車の中間のマーキュリーよりちょっと下の部分を埋めるべき車がなかったのだ。

商品ラインアップにぽっかり開いた「穴」

この「穴」を満たせば、フォードのラインアップを完璧だ。売上はさらに上がるに違いない。そう信じたフォードの経営陣は、当時のお金で350億円をつぎ込んで、「エドセル」というその“穴”を埋める自動車を開発した。

1950年代のお金で350億円だ。今のお金でいったら、10倍以上になるかもしれない、、、3500億円!と言うとデカ過ぎて全くイメージが湧かないかもしれない。単純に3倍すれば1兆円になる。今年の東芝が出した、会社の存続を揺るがすくらいの巨額な赤字と同じくらいの規模だ・・・

そういった莫大な資金をつぎ込んで「エドセル」は誕生した・・・

フォードがハマった罠は、僕らのような起業家でもハマる。それも、ハマるどころの話ではなく、毎日のようにこの罠はあなたを狙っている。

誰だって、社長だったら自社の商品を熟知している。毎日その事ばかり考えているだろうし、どうすれば、今の商品がもっと良くなるか?もっと売れるか?を考えている事だろう・・・

すると、ある日、フと気がつく事がある。

家でゆっくりリラックスしている時に、フとアイディアが湧くのだ。「あっ!ウチの商品ラインナップには、ここに穴がある!」そして、その穴を埋めれば、自社の商品ラインアップは完璧になるだろうという思い込みの元、新商品の開発にかかる・・・

さて、あなたはここで
彼が何をどう間違っているか分かるだろうか?
どんな罠が彼を待ち受けているか分かるだろうか?

レスポンスを読んでいるあなたなら、もう気づいたかもしれない。そう。全くお客からの視点がないのだ。全て、社内から内側から見た考え方なのだ。商品ラインアップに穴がある、なんて事は、社内の人間は考えたとしても、お客さんが考える事は全くない。

そして、売れない商品を作って、必死にそのマーケティングやセールスにエネルギーや資金をつぎ込んでしまう事になる。

「自社の商品のラインナップを完璧に揃えたい。」という気持ちは僕も社長として痛いほど分かる。ただ、コレは罠だ。気をつけなければいけない。どんな商品ラインナップも全てがそれぞれ同じくらい売れているなんて事はない。

80:20の法則が働き、メチャメチャ売れる商品と、全く売れない商品に分かれるのだ。

1950年代のフォードのように最高の人材と最高の資金、リソースなどを持った人たちでさえ、この間違いをやってしまう。

ビジネスで最も苦労する法則は簡単だ・・・

「自分がコレは必要だ!と思った商品を開発して、
それを必死に売る」

この道をたどれば、ほとんどの人は間違いなく、いばらの道を歩む事になる。一方、ビジネスで成功する法則はとても簡単、、

「お客が欲しいモノを見つけて、
それを手に入れる方法を教えて上げる」

お客が求めているものは何か?心の底に眠っている欲求は何なのか?ソレを見つける。それから、それを手に入れる方法を教えて上げる。それは、あなたが商品を開発するという意味かもしれないし、あるいは、すでにそのような商品が売っていれば、その販売権を獲得したり、オンラインならアフィリエイトで紹介するという意味かもしれない。

これは色んな風に解釈できるが、意味は一つだ。つまり、お客が欲しがっているモノを売る事。

ここで、注意!時には、「自分がコレが必要だ!」と思った商品を作って大当たりする事がある。成功した人の話を聞くと、こう言った話が出てくる場合がある。だからといって、「その方法が正しいんだ!」と思っては行けない。

それは、偶然だ。

偶然、自分がコレが必要だ!と思ったものと、お客が欲しいものが一致したにすぎない。あるいはビジネスの経験を積んで行けば、お客が欲しがるものがなんとなく分かってくる。そして、直感で売れる商品が浮かぶようになる。その時の「コレが必要だ!」は本当は、「コレを欲しがってる!」という意味なのだ。

そういった直感は、脳内のデータベースに蓄積された“経験”や“情報”を元にして出てくるので、結構合ってる事がある。しかし、そのプロセスを説明してくれる人はない。

なので「何で、この商品を作ったんですか?」と聞かれれば、「コレは必要だ!と思ったんだ。」と答えるに違いない。

・ ・・

忘れては行けない。お客は欲しいモノを買うのだ。どれだけ理由がむちゃくちゃだろうと、欲しいから買うのだ。「お客が今現在、何を欲しがっているか?」を見つけるのがあなたにとって最も重要で最も優先すべき課題なのだ。

何もお客の2歩3歩、先を行く必要はない。商品ラインナップを完璧にする必要も全くないのだ・・・

1950年代、エドセルはフォードから発売された。

巨額の開発費をかけて、経営陣の熱い期待を背負って、フォードの社運をかけた大キャンペーンを発売されたエドセルは、大コケした・・・

フォード社の会議室は大いに混乱していた・・・

「社長。エドセルが、、、、」

「・・・」

「どうした?」

「全く売れていません」

「何!?何故だ?あれには膨大な開発費をかけたはずだぞ!」

「分かりません。。。

「分かりませんが、恐らく、、、」

「恐らく何だ?」

「恐らく、、、

誰もこのタイプの車を欲しがっていなかった

のかもしれません。」

市場に出てからわずか1年で、大幅にデザインが変更された。
そして、わずか3年の間にエドセルはこの世から消滅した・・・

PS:→ http://www.theresponse.jp/catalog/

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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