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マーケティングの手段は、目的を明確にしてから選べ

2012.8.23 | ,
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From:小川忠洋

From:小川忠洋

赤坂のスタバより、、、

数週間前の話。あるスクールを運営しているご夫妻から本を出したいとの相談を受けた。普段はこんな相談なんて受けることはないんだが、僕のいとこがお世話になっているので話を聞いてみることにした…

そのご夫妻は、ウチの近所でスクールを営んでいて、もちろん、マーケティングの「マ」の字も知らないような人達である。僕の仕事内容を説明しても、何だかよくわらない…というような感じであった(笑)

素人のアドバイス

僕は最初、受講生の新規顧客獲得のために本を出すって話かなぁーと思っていた。しかし、話を聞いてみるとそれは少し違った。何故なら、そのスクールは基本口コミで広がっていて、スペースもないから、これ以上、生徒さんを増やすこともできないしなぁーという感じだったからだ。そして、ご夫妻もその状況に満足しているようで、ヨッシャこれから拡大路線で行くぞ!って感じでもなかった。

きっかけは違って、彼らはとてもユニークなスクールを運営していたからだった。ユニークな教育スタイル、教育理念だったので、NHKから取材が来たり、関西大学かどっかの大学の教授が調査にきたりしてた。そして、その教授に『こう言う事は、もっと世の中に広めなきゃいけない!だから、本でも出しなさい!』と言われたのがきっかけだそうだ。

彼らは言ってみれば、ビジネスで重要な2つの要素、商品とマーケティングのうち、商品開発の方を自分たちの信じる理念で一生懸命にやってきた職人たちなのだ。

なのでマーケティングに関しては素人。もちろん、彼らにアドバイスした大学教授もマーケティングに関しては素人。素人がいちばん最初に考える、何かを広める手段として思いつくのが「本の出版」である。

本の出版というのは、その業界にいない人からしたら、とても「神聖」なものに思われている。しかし現実は全くの逆である。もしかしたら、あなたも書籍の出版に関して何か神聖なものを感じているかもしれない。なので、彼らにアドバイスした「本」の俗説と真実をあなたにもシェアしようと思う…

本の俗説①日本中の本屋に並ぶ

本を出せば、それが全国津々浦々の書店に並んで、全国民の目にさらされる。そして、本屋でどんどん自分の本が売れていく。

本の真実①ほとんど並ばない

本を出してもそれが全国の書店に並ぶなんて事はまずない。これは単純な算数で簡単に分かる。書店というのは2011年現在、日本に1万5000店舗ある。1万5000店舗全てに本を並べるとなったら、1店舗平均2,3冊仕入れるとしても3万4万冊の世界である。

一方、ビジネス書の新人が出せる部数なんて初版3000くらい。計算してみると分かるが明らかに足りない。なので、全国に並ぶ本なんてのは基本的にないと思っていい。

本の俗説②著者側は書くのが仕事で書店や出版社が売るのが仕事

著者である自分は、本を書くのが仕事で、本の内容に99%の全力を注がなければいけない。そして、残った1%程度の力でサイン本でもやってやりゃーいい。本を売るのは、出版社や本屋の仕事で彼らが、中吊り広告やら新聞広告やらポップやらを作ってくれる。それが彼らの仕事である。

本の真実②書くのも売るのも著者の仕事

実際は、出版社が売ってくれるなんて事はまずない。本は書くのも著者の仕事。その書いた本を売るのも著者の仕事である。出版社の仕事は「売れる」と分かった本に「勢い」をつけるだけである。真実①に続くが、本が書店に並ぶ時間なんて超短いのだ。実際、1週間くらいである。意味が分かるだろうか?

あなたが本を出して、最初に書店に並ぶ。新刊本の棚に並んでるだろう。そして、1週間後には、返品されていて、跡形もなくなっている…こんなもんなんだよ。

特に今の時代、本は全然売れなくなっている。恐らくほとんどは、スマホなどに食われているのだろう。スマホでブログやツイッターが読めれば、自然と本を読む時間はなくなってくる。ブログやツイッターはほんの数分で読めるし、オモシロイ。しかも無料。となれば、、、そっちに喰われる。さらにケータイゲームで事態は悪化している。

本の俗説③印税がずっと入ってくる

本を一回書けば、それがあちこちの書店でポロポロ、ポロポロ売上を上げることができるので、毎月、印税収入がちょろちょろ、ちょろちょろ入ってくる。これこそ最高の不労所得である

本の真実③返品されて捨てられる

本は売れなければ、書店のスペースを邪魔するだけである。なので、売れない本はとっとと返品される。(本屋は仕入れの時に代金を払わない微妙なシステムなので、容赦なく返品する)返品された本は、持っていると在庫になって課税されたりするので、出版社にとっては邪魔でしゃーない。最後はどうなるか?最後は、捨てるしかない。バッサバッサと切り刻んでポイと捨てるのだ。

世の中には、大ヒットした本しか出てこない。大ヒットの影には、大コケした本が何百冊もあると思っていい。100万部と言わないまでも5万部くらいは頑張れば売れるのでは・・・と思っているなら、それは大間違い。ぶっちゃけ、大ヒットを出すのは、かなーーーり気合入れてマーケティングするか、ラッキーかどっちかである。

***

声を大にして言いたいのは、とにかく本は売れない。売れない。売れない。特にビジネス書なんて今じゃ、本当に売れなくなっている。ある編集者から聞いた話だが、前年比3割減とかいう始末だ。前年比3割減だったら、普通の会社は潰れる。だから、商品価値としてみれば「本」には何の価値もない。

それでも本を出す理由

 それでも本を出す理由などあるのだろうか?本を書くのはめちゃめちゃエネルギーのかかる仕事なのにこれではあまりにもリターンが少ない。それでも作る価値はあるのか?答えはイエスである。本は、その謎の「神聖さ」が最大の武器だ。つまり、自分の信頼性を高めるためには最高のツールなのである。信頼を確立するためのめんどくさい作業が一冊で済む。つまり、本とは「名刺」なのである。

信頼性の高い「名刺」を持つ必要があるなら、本は最高の武器。ぜひぜひ持っておきたい。(でも、ぶっちゃけ話、そこそこの著者でも今はビジネス書は出せない。なぜなら、とんでもなく売れないからだ。)

冒頭のご夫妻には、そんな信頼性の高い名刺を持つ必要は全くなかった。だから、もっと手軽に始められて、目的の実現に近いものを提案した…

教訓:手段は目的を決めてから選べ!

本を出版というようなマーケティングの手段は、まず大前提として目的が明確でなければいけない。目的を明確にしてから、どの手段がその目的を達成するのに最適なのか?を考えるべきである。

親戚のオジサンが、こういう手段が流行ってるってな…って言ったからと言って、それに飛びついてはいけない。

小川忠洋

(お客様の声) 稲岡様 ★★★★★

マーケティングのアイデアや、販売のアイデアに使っています。

読むだけでも気づきを得れますが、実践で詰まった時や困ったとき、もうワンランクアップを狙う時に読めばこそ、価値を発揮してくれる本だと思います。

今後何年も、自分を助けてくれる一冊になりそうです。

ダンケネディの「億万長者の不況に強いセールス戦略」

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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