From:小川忠洋
銀座のスタバより、、、
コピーライターとして、街を歩いている時、僕はいつも広告をちらちらと見ている。そして、いい広告と悪い広告の違いを考えてみたり、いい広告があれば自分のコピーで使えないか考えたりする。
そんな中、品川の近くにある整体院でメチャメチャ、キャッチコピーの上手なところがある。そこは看板をいつも道路脇に出しているのだがあまりにも上手すぎるので、写真を取っておこうか?と思うくらいだ。
どう上手かというと、その看板は患者の気持ちをばっちりとつかんでいる。例えば、雨の日とかだったりする、
「雨の日は間接が痛む」
これは、雨の日にその整体院の見込み客が、まさに頭の中で考えている事だ。「あー雨が降ると間接が痛いなー」と。そこにこの看板。ついついお店をのぞいたら混み合っている。きっとこの間接の痛みを治してくれるに違いない。と思ってしまうのが人間。
もちろん、その整体院はいつも行列ができているくらい大人気である。(朝、通りかかっても人が並んでるくらいだ)整体師は3、4人いるっぽいけど、外からガラスで見えて常に何人かがマッサージをしている。
そして、昨日、僕がそのお店の前を通った時に事件は起きた。昨日の夕方ごろ買い物に出かけようとその道を通る。そして、いつものように何気なくそのお店の看板をみてみる。
すると、、、、
え!?
一瞬、何かの間違いかと思って
もう一度、看板を見直してみた。いわゆる二度見というやつである。
えっ!!??
間違いない。
その日、2009年3月24日
この看板にはこんな事が書いてあった、、、
・・・
交通事故治せます!
・・・
・・・
・・・
「嘘つけ!!」
交通事故が整体で治せると言うのはどいういう意味かよくわからないが、恐らく、交通事故後の古傷の痛みとかそんなんを治せるという意味だろう。しかし、しっ、しかし、明らかにこの看板を見た時に僕が最初にイメージしたのは、交通事故にあって血だらけで大けがしている患者がこの整体院に運び込まれている様子である。
『いやいや、骨折してるで!マッサージしてる場合ちゃうで!
早く病院連れてかな、出血多量で死ぬで・・・』
と突っ込みを入れたくなるほどのイメージだ。忘れてはいけない。ここは整体院だ。マッサージする所だ。マッサージで骨折が治ったら、魔法の手(ゴッドハンド)と言われてTVからの取材がひっきりなしに来るだろう。。。
おっと。冷静になろう。ついつい「交通事故治せます」の強烈なキャッチコピーでカッとなってしまったが、頭を冷やして考えれば実際は、単純にメッセージがちょっとズレていただけの事である。(チョットか?)このほんのちょっとしたズレがお客の頭には全く違ったイメージを浮かべてしまう。
さて、今日はこの事件があまりにも面白かったのでそれをシェアするだけにしようと思ったが、(たまにはオモロいだけで意味のないメールがあってもいいかなーと思った^^;)この整体院はとても優秀なので学ぶ点がたくさんある。だからちょっとその話にも触れておこう。
この行列のできる整体院から学べる事
この行列のできる整体院から学べる事はなんだろう?答えは簡単だ。整体師の仕事はマッサージではないと言う事。
よくよく考えてみよう。この整体院に行列ができているのは何故だろうか?それはこの整体師が最高に優秀でゴッドハンドを持っているからではない。日本でナンバー1でもないし、地域でナンバー1に腕がいいのかどうかも分からない。
彼らよりも腕のいい整体師は探せば見つかるはずだ。
しかし、彼らが抜群に腕がいいのは、この「看板のコピー」である。もちろん、その他にもリピーターを獲得するためのマーケティングとかも上手いだろう。(行った事がないので分からないが)つまり、お客を集めるための看板広告のコピーライティングと、マーケティングの腕がいいから、ここには行列ができている。
これはどんなお店、サービスにも言える事だ。
例えば必ずしも行列ができているレストランがその地域で一番美味いかと言われればそんな事はないだろう。行列ができてるお店はまず、広告やPRなどで大量のお客を集めてから、そこそこ味が美味ければ、あとは同じ事を繰り返してるだけで、行列はでき続けるだろう。
必ずしも、技術や商品、サービスで業界ナンバー1になる必要がないと言う事。商品の性能などをいくら向上させたとしても、必ずしもそれが売上やお客につながるわけではない。っていうか、ほとんどのケースでそれは全く関係ない
社長の仕事で最も重要な最優先の仕事は、「顧客獲得」だ。そのための広告やマーケティングが、どんなビジネスをしていようが、最優先の仕事だ。ビジネスの観点から商品のクオリティはリピーターを取るためにはかなり重要だが、最初の新規客を取るためにはほとんど重要ではない。
最初の新規客を取るときに最も重要なのは「見込み客から見た」あなたの商品/サービス/お店が、他よりも良く見える事だ。現実的に自分の商品/サービス/お店が業界ナンバー1のクオリティだったとしても、見込み客が、他の会社をナンバー1だと思っていたら、そっちが現実だ。
見込み客が感じた事 = 現実
あなたが知っている現実 = 幻想
だから、どうやって見込み客に、自分の商品がいいと感じてもらえるか?どうやって自分の商品/サービスの良さを伝えるか?これこそ、あなたにとって最も重要な役割なのである。
いい商品、サービスを作っていればお客は分かってくれる、というのは単なる怠慢だ。いい商品/サービスを作ったらそれを世の中に伝える義務がある。
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