From:藤岡将貴
もしあなたが、セールやフェアを実施しても反応が落ちてきているなら、今日お話しするあるうどん店の事例が、その1つの解決策になるかもしれません。
そのうどん店とは「丸亀製麺」。丸亀製麺は2000年に1号店を開店。その後、新規出店を加速し、全国で820店舗、海外200店舗の大型チェーン店に成長しました。
しかし、昨年から客数が減ってきて、既存店の客数が16ヵ月連続で前年割れという最悪の状況に見舞われていました。
なぜ客数が減っているのか?明確な理由がわかりませんでした。「今までだったら新メニューなどを押し出す期間限定のフェアを実施すれば、お客さんは戻ってきた…でも、最近はフェアをやっても反応が悪い…どうしたらいいのかわからない…」そんな状況だったそうです。どうしたらいいのか…
丸亀製麺のような全国チェーン店の場合、「セントラルキッチンを作って合理化して利益をあげよう」というのが、普通のコンサルタントが考えること、だと言います。
というのも、「チェーンストア理論」というものでは、全国をいくつかのブロックに分けてセントラルキッチンを作って、そこから各店舗に商品を配送する、というのが王道で、多くのチェーン店でその方式が採用されているとのこと。店舗数が増えれば増えるほど、そのスケールメリットは大きくなります。でも、丸亀製麺の方針は、この「チェーンストア理論」に反するものでした。丸亀製麺は、すべての店舗に製麺機を置いて、麺を製造していたんです。
これについて、丸亀製麺を経営する株式会社トリドールホールディングスの粟田貴也社長はこのように言っています。
”丸亀製麺を始めたのは、父の故郷である香川県を訪れた際、小さな製麺所にお客様が列をなしているのを見たのがきっかけでした。「これだ」と思ったのです。できたての麺を、その場で食べていただく。これほど感動的な食体験はありません。だから我々はすべての店舗に製麺機を置き、すべてのうどんを国産の小麦粉から作っています。作り置きもしません。できたての美味しいうどんを味わっていただきたい。そこにこだわって工場やセントラルキッチンを持たずに、ひたすら「できたてのおいしさ」を実直に展開してきました。”
社長の熱い想いを聞いて、このコンサルタントは、普通のコンサルタントとは真逆の方法をとりました。それは、セントラルキッチンを作って効率化するのではなく、すべての店で粉から作る手作りのうどんの美味しさを全面に押し出したんです。つまり、丸亀製麺が創業から元来もっていた強みをアピールした、ということですね。
その結果、今年5月には、16ヵ月連続で前年割れを続けていた既存店の客数が、ついにプラスへと回復。前年比95%まで落ち込んでいた客数は105%へと、4ヵ月で10ポイントも回復しました。
強みとは本来、競合他社よりも相対的に優れていて、「この会社の商品は__だからこの商品を買う」というものを言いますが、そこまで強みと呼べるものでなくても、商品や会社のこだわりをアピールすることで売上を大きく伸ばした事例があります。
例えば、アメリカのシュリッツビールというビール会社の話。クロードホプキンスという、20世紀初頭に大活躍したセールスライターがこの会社の広告を作って、この会社を全米5位のビール会社から1位に押し上げました。ホプキンスが広告でアピールしたものとは、一体なんだったのか?
ホプキンスがそれを発見したのは、ビール工場を見学した時です。ビールの製造工程で、高温の蒸気でビール瓶を洗浄しているのを知りました。ホプキンスは驚きました。でも、ビール会社の担当は、「そんなのどこでもやってるよ」と素っ気ない様子。でもホプキンスは思いました。「どこの会社もやっていると言うけれど、どこの会社もこの事実を伝えていない。これを伝えたら、みんなきっと驚くはずだ。」と。
そこでホプキンスは「清潔なビール」をアピールする広告を作ったところ、、、シュリッツビールは全米5位から1位のビール会社になった、と言います。
僕らが強みだったり、こだわりだと感じているものは、思っているほど見込み客には伝わっていない。だから、それを伝えるだけで広告の反応が増えたり、客数が増える、ということなんですね。
さて、あなたは強みやこだわりをちゃんと伝えられているでしょうか?その強みを見込み客はきちんと知ってくれているでしょうか?もしあなたが、セールやフェアを実施しても反応が落ちてきているなら、、、一度考えてみては??
-藤岡将貴
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