From:北岡秀紀
「今の販売価格に満足していますか?」
こんな風に聞いて「YES」と答える社長はいません。
99%の社長はもっと高い金額をもらってもいい、と感じています。
実際、コンサルタントの立場から客観的に見ても、多くの商品・サービスがその価値に比べてえらく安く売っているように思えます。
「だから、値上げをしましょう」というオチになるわけですが…
値上げをしたらお客さんが減るのではという恐怖で値上げに手をつけられない、という社長が多いです。
そんな時は牛丼のことを考えるように促します。
牛丼に値付けするならいくらになるでしょうか?
大手チェーンなどでは280円、300円くらいの価格帯。
個人の食堂でも、高くてもまぁ、800円くらいでしょう。
でも…すき焼き丼だと?
1,500円、2,000円でも納得感がありますよね?
よく考えてください。
牛丼とすき焼き丼って同じ材料ですよね?
下手をすると、しらたきやネギや豆腐なんかも入るのですき焼き丼のほうが牛丼よりも原価が安い可能性すらあります。
なぜそんなことが起こるのか?
それは比較対象のせいです。
牛丼というと、大手チェーンの280円、300円というイメージが強い。
多くの人はそれを基準に価格を考えます。
一方ですき焼きというと、それだけで「ぜいたくなご馳走」というイメージがあります。
すき焼きを食べにいくと5,000円、6,000円、高級店であれば15,000円を超えます。
それを基準に考えるから、2,0000円のすき焼き丼があってもおかしいと全く思わないわけです。
お客さんは商品・サービスの絶対的な価値を理解しているわけではありません。
自分の経験から照らし合わせて、何かと比較してしか価格の妥当性を考えることができないのです。
値上げを実施して売上が落ちる理由は簡単。
今までの価格と比較されているからです。
当然、今まで10,000円で買えていたのに20,000円になったら「価格が倍になった!」と購入するのをやめるに決まっています。
なので、他の比較対象を作り、それを比べてもらうことが必要です。
例えば、安価な価格をウリにしていた塾がありました。
この塾が2倍近く値上げしたのですが、結局、客数が減ることはありませんでした。
それどころか客数が3倍にまで増えました。
なぜなら値上げをすることで「高級な個別指導の塾」と価格比較されることになったからです。
通常の塾としては高い。
でも、もともと安価な塾から始まっているので、値段をあげたとはいえ、高額塾から見れば価格が安いわけです。
つまり、比較対象が高額塾になったからこそ、お客は値ごろ感を感じ客数が増えたというわけです。
値上げをするとき、自社の今の価格や直接競合の価格が基準になってしまっています。
それはお客さんだけでなく、社長であるあなたもです。
だから、値上げできないのです。
逆に言えば、なにと比較されたいのかを考え直すことで、あなたもお客さんも納得して値上げを受け入れられる、というわけです。
-北岡秀紀
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