先日、コンサルティングの案件を友人に紹介され、ある起業家と話をする機会があった。
「まずはカフェで軽く話しましょう!」
という彼の提案で、最寄りのカフェに入ることに。
当たり前のように「いらっしゃいませ~」と店員に声をかけられ、その後の、「禁煙・喫煙どちらがよろしかったでしょうか?」の質問に、彼はすかさず「喫煙で!」と即答…
そう言えば、最近はタバコを吸う人たちも周りに気を使うようになってきているので、これほど強引に喫煙席を選ぶ人のことが、古臭くも、妙に懐かしくも感じた。
そして彼は、喫煙席に座るなり、タバコを咥えながら、「タバコ大丈夫ですよね?」と…
こういう時、いったん席に座ってしまってから聞かれても、なかなかNOとは言えない。というか、入店のときでさえも、なかなかNOとは言えないんだよね~
ということで、心の中では「スタバだったら、全席禁煙なのにな~」と思いながら、会話がはじまった。
彼の話をよく聞いてみると、彼はいろんなマーケットでビジネスを展開(彼曰く、浅く広くという分散型のビジネスらしい)していて、今度また新しくビジネスを立ち上げる予定らしい。
そして、どうやらそれがとても上手くいきそうな話なので、そのホームページを作ったらSEOをお願いしたいとのこと。
いきなりSEOと言われても、いろいろあるので、もう少し深く話を聞いてみることにした。
僕: 「どんなキーワードで、ヒットさせたいのか決まってますか?」
彼: 「全く分かってない状態です。」
僕: 「ではまず、それを調べるまためにPPCを先にやった方が良いのでは...?」
彼: 「PPCは、自分で結構やっているので、ある程度わかります。」
という話をしているうちに、なぜかPPCの話になってしまった。話を進めていくうちに、とても気になる一言を彼が発した。
「インターネット系とかは、競争が激しすぎてもう勝負できないです。」
と...
本当にそうだろうか?
これは、売る側の立場の人が使う言葉なんじゃないだろうか。
自分で何か商品を作って、それを売ろうとしたときに、競合店がゴロゴロいたら、売りにくいのは確かだ。
じゃあ今度は、自分で何かをインターネットで検索するときのことを考えてみてほしい。
検索エンジンの検索窓に何かキーワードを打ち込み、検索ボタンを押す。
あなたも、毎日のように行っている行為だろう。
さて、その次に出てくる検索結果をみた時のことをよく思い出してほしい。
「うーん、なんとなく自分で思い描いていたウェブサイトがヒットされないな~」
こんなことを思ったことはないだろうか?
そしたら、次は何をするか?
おそらく、そのキーワードに別のキーワードを付け足してもう一度検索してみるか、別のキーワードを入力するんじゃないだろうか?
そうして、自分が思い描いていたウェブサイトがヒットするまで、この行為を続ける。
一発で自分の行きたいサイトに辿り着くことなんて、滅多に無いくらいじゃないだろうか?
あなたは自然に、検索キーワードをより具体化して検索する作業を行っているのだ。
鋭い人は、もうそろそろ何が言いたいか分かってきてしまったと思うが、競争が激しくなるということは、その商品・サービスが広く認知されてきたという証拠だ。それを提供する人も増えれば、検索数も増える。
検索する人の立場からしてみると、それを提供するサイトが増えてしまったために、目的のサイトになかなか辿り着けない。
そのために、より多くのキーワードを複合させたり、より具体的なキーワードを使って検索する。
これが、インターネットの世界で大事な部分だと言われるロングテール。
ニッチを狙え!と言った方が分かりやすいのかもしれない。
だから、競争が激しくなったからと言って悲観的になる必要なんて全くない。
逆に、マーケットが認知され、よりニッチな商品を求めるお客様が増えたと、喜ぶべきなんじゃないだろうか。
それからもうひとつ、彼の考え方が、ちょっと危険だと感じたことがある。
商品にゾッコン惚れ込んでいるということ。
彼の頭の中には、商品が先に来て、マーケットが後にある。
そのプロジェクトがとても上手くいくと信じ込んでいて、アフィリエイト・PPC・SEOその全てを上手く機能させたいという気持ちだけが前に出ている感じだ。
商品をニッチ化させるという前半の話ではないけど、マーケットに合わせて商品を作った方が、売るのは楽だと思う。
もちろん、やる本人だから、上手くいくと信じてプロジェクトを手掛けるのは大事だけど、特にSEOをやるのであれば、その商品が本当に売れる(儲かる商品)と分かってからやっても、全然間に合う。
実際に他のことに力を入れたほうが、上手くいくと思ったので、SEOは後回しで良いのではないかという提案をしてみた。
仕事を彼に依頼してもらいたい立場の人間が、「SEOよりもまず他のことやった方が良いんじゃないですか?」と、はっきり言ってしまうのは、問題であるのは分かっている。
売り込みが足りないという意味で、そんな僕は失格なのかもしれない。
でも、嘘をついてまでお金を取りたいとも思わなかったし、もっと先にやることをやってからのほうが、絶対に上手くいくと思ったので、そこはバカ正直にぶっちゃけてしまった。
もしかしたら、それ以上に、その話を早く切り上げて、喫煙エリアから抜け出したいという気持ちも結構あったのかもしれない...笑
まあどちらにせよ、せっかくの仕事の案件を潰してしまう形にはなったけど、プロジェクトを立ち上げるときは、まず何をはじめにやるべきなのかを見極め、そこに精力を集中した方が上手くいくので、彼には良いアドバイスができたんじゃないかと思う。
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