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[事例]小さなサイトに必要なもの…

2012.11.22 | ,
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From:小川忠洋

From:尼口 友厚

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前回に引き続き、ネットコンシェルジュの尼口さんからの記事。
前回の記事を見てない?ならこちらから、、、
http://www.theresponse.jp/?p=16028
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Never Liked It Anywayは豪州出身の28歳の女性が今年1月、在住地の米ニューヨークで開設した、不要になった品物を売買するマーケットプレイスである。開設後まもなくFoxのTV番組やNew York Post、英The Times、Daily Mail、Telegraphを含め、大手マスコミでも取り上げられ、1日に1万回以上のアクセスを記録する人気サイトになった。以下では、このサイトがどうしてそれほど話題になったのかを紹介する。

「恋人との破局」がサイト開設のきっかけ

このサイトのオーナー、Annabel Acton(以下、アナベル)氏は、2010年のクリスマスの5日前、恋人と破局し、手元には彼と一緒に休暇を過ごすはずだったロンドン行きの航空券2枚が虚しく残された。彼からもらったアクセサリーも再び身につける気になれない。だが捨てるわけにもいかず「どこか売り払える場所があったら、さっぱりするのに」と友人に愚痴った。この彼女自身の口から出た愚痴が1年後にオンラインのマーケットプレイスを開設する原動力になる。

Never Liked It Anywayのコンセプトは「別れた元恋人や元配偶者の思い出に通じる忌まわしい品物をこのサイトで売りさばき、手にしたお金で憂さ晴らしをして、さっさと立ち直ろう!」というものなのだ。

The Timesのインタビューで、アナベル(上写真)は自身が恋人と破局した後、インターネットで恋人や配偶者との離別をテーマにしたサイトをいくつもチェックしたが、どれも雰囲気がメソメソ、ジメジメしていて、自分の趣味に合わなかったと答えている。

そういうサイトよりも「自分の破局をネタに他人に笑ってもらい、忘れたい相手に関係した品物を売却できるサイトの方がよっぽど前向きで、本人のためにもなる」と彼女は考えたのだ。

「破局価格」での出品を推奨

上記のコンセプトから、Never Liked It Anywayに出品されることが多いアイテムは、必然的にウェディングドレス(1回着用または結婚式直前に破談になり未使用)とダイヤの指輪になる。

しかし元の持主が幸せになれなかったと知っていて、そのウェディングドレスを自分の結婚式に着ようとする花嫁がどれだけいるのだろうか?

この疑問に対してアナベルは、品物にまつわる「縁起の悪さ」を打ち消すために、出品者に正規価格よりずっとお買得な「break-up price(破局価格)」で出品するよう勧めている。

不要になった品物を抱え込んでいつまでも過去の傷を引きずるよりも、その品物を使える人に低価格で譲り渡した方が双方にメリットがあり、品物にとっても本望とのことだ。

上のリストのように1,000ドル単位でディスカウントになっている商品が多いので、迷信深い人でなければためらわずに購入するかもしれない。

品物にまつわる物語を披露することが出品の条件

また、このサイトに出品する(「SELL IT」)にはその品物にまつわる忌まわしい過去を披露する(「TELL IT」)ことが必須条件となっている。

その物語を読んだ他のユーザーは品物の購入を申し出る以外に、物語に対する感想やアドバイスを140文字以内で投稿することもできる。ユーザーから寄せられたアドバイスは「MOVING ON(先に進むための)マニュアル」として1つのページにまとめられている。

だが出品者の物語を読むと、かつて愛した相手が忘れられずに悲嘆に暮れた毎日を今も送っているという感じのものはほとんどない。

投稿されている物語をいくつか紹介しよう。

「(結婚相手に)ずーっと疑問を感じていましたが、『お前のナッツの刻み方は間違っている』と言われ、限界に達しました」

「元妻は、ペットの犬と1回着ただけのこのウェディングドレスを僕に残して出て行きました。でも、ダイヤの指輪はしっかりと持っていきました。犬は売れないけど、ウェディングドレス誰か買ってください。50ドルにもなれば十分。それ以下も応相談。」

相手の浮気や性格(嫉妬深い、マザコンなど)が原因で別れに至ったという物語が多い。出品者は物語と合わせて「現在の心境」も申告することになっているが、その殆どは「What break-up?(破局って何のこと?)」を選んでいて、すでに精神的には立ち直っているようだ。

サイト全体の雰囲気は決して暗くない。これも人気になった要因だろう。

このビジネスは成功した、と言えるのか?

このサイトに出品するのに必要な料金はアイテム1つにつき2.50ドル。他よりも目立つように掲載してもらう場合は7.50ドルである。

売買が成立した場合も、サイトにコミッションを支払う必要はない。話題になって出品者が増えたとはいっても、規模はまだまだ小さいし、投資家からの援助も受けていないので、金銭的にはあまり成功しているマーケットプレイスとは考えにくい。

しかし、それはこのサイトだけを見た場合のことだ。僕は大成功だと思っている。

サイトをオープン後、アナベルのもとには、多くのマスコミが殺到した。リアリティ番組のプロデューサーからこのサイトをもとにシリーズ番組を作りたいというオファーもあったと報道されている。そして前述のとおり一日のアクセス数は1万を超えた。

たとえ、このサイトでいわくつきのウェディングドレスがちっとも売れなくても(出品者には申し訳ないが、立ち直るきっかけを提供したのだから、それでよしとしておこう!)、アナベルは一定の顧客層と強い絆を作り上げたのだ。

僕がアナベルならこの後、サイトの顧客に向けた新しいサービスを作ってお知らせするだろう。「心機一転」「新生活」をテーマにしたECサイトを作れば、顧客はきっと来てくれるに違いない。

ECサイトは、必ずしもモノが売れなくてもよい。

顧客との関係性が強化されるなら、それだけで目的の99%は達成されたようなものだ。

良い顧客がいれば、商品を売ることは難しくない。

もう一度言っておこう。
「ECサイトは、必ずしもモノが売れなくてもよい。」
まずは顧客を作るのだ。

PS:
気に入った?どう思う?いつものレスポンスとは違うテイストだから、気に入ったかどうか教えて欲しいんだよね。コメント待ってます。
by小川忠洋

小川 忠洋

読者累計30万2163人を誇るマーケティングメルマガ『ザ・レスポンス』発行人、ダイレクト出版株式会社代表取締役社長。『ザ・レスポンス』の他にも、読者累計14万5000人の『デイリーインスピレーション』などを毎日発行。年間1億通以上メールマガジンを配信。日本ナンバーワン・マーケッターにも選ばれた神田昌典氏など、一流の経営者とも提携を結びビジネスを展開。著書に『自分を不幸にしない13の習慣』『フリーで利益を生み出す45の鉄則』『インターネットマーケティング最強の戦略』がある。

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