From:北岡秀紀
FROM:北岡秀紀
「お客様は神様です」という三波春夫の言葉が心にしみ込んでいるからなのか分かりませんが、日本人は「お金を払う側はお金をもらう側よりもエラい」という感覚を持っている傾向が強いようです。
これは、売り手側、買い手側双方が根強く持っている感覚ですが、特に売り手はその傾向が強く、それが「売る罪悪感」にもつながっているように感じます。
しかし、この感覚は捨てるべきです。
なぜならお客様は神様でもなんでもないからです。
商品なりサービスなりを提供した見返りに、お金をもらっている。単なる等価交換に過ぎません。
どちらがエラいとか、エラくないとかはありません。
理不尽なクレームを言ってきたり、あきらかに報酬をもらわないと採算が合わないようなサポートを要求してきたり、ありえない値下げを要求してきたり・・・そんな買い手を生み出しているのは、そしてそんな買い手に悩まされているのは、全部「お客様は神様」と勘違いしている売り手のせいである、と理解すべきです。
実際、興味深いことに、従業員に顧客のことを「お客様」と呼ぶように指導している会社ほど儲かっていない傾向があります。
神様、仏様というように、「様」には絶対的な印象があります。もともと「お客様は神様です」というメンタリティの上に、日常から「様」を付けるよう指導されると。。。
お客の言うことには絶対に従う必要がある。
YESと言わなければならない。
という卑屈な観念が産まれやすくなります。
その結果、「ややこしい買い手」がそれにつけ込んで、図に乗るという構図です。
「お客様」をやめる
そこで私がお勧めするのは、買い手の事を「クライアント」と呼ぶことです。クライアントにも「客」という意味があるのですが、日本人にはなじみがない言葉のおかげで、「客」という漢字のように「神様」の意味合いがこもりません。
しかも、「クライアント」という言葉は「専門家に助言を求める依頼人」という意味も含まれ、単なる買い手ではなく、あなたが教え導くべきと暗に示すことができます。(先々週の「私にとってどれがいいの?」「私はどうすればいいの?」を教える専門家になりましょう、という話とつながりますね。)
言葉を変えれば接し方も当然変わる、というわけです。
ただ、これだけだと単なるマインドセット。
もうひとつ重要なのが、
どんな買い手をクライアントにするの?
ということを決めることです。
お客様をクライアントと言い換える時に、どんな買い手をクライアントと呼ぶのかという基準を改めて決め直してください。
この基準を決める方法はシンプルです。
つき合いたくないうざい客の共通点をリストアップします。
このリストアップした内容が、つき合うべきでないクライアントのチェック項目となります。
逆に、現在つき合っている中で、良いクライアントの共通点をリストアップします。このリストアップした内容に当てあはまるほど、良いクライアントと判断できます。
ネガティブのチェック項目がひとつでもひっかかる客とは、一切付き合いません。
目の前のキャッシュが欲しいがために、付き合いたくなりますが。。。結局、売上があがっても、不必要なサポートコストがかかり、結局は赤字になります。また、このような客に対応したあと、普通の仕事にも影響を及ぼします。もし一人でビジネスをしていたら、もうその日はビジネスが進まないことになります。
万が一、誤ってそのようなお客が紛れ込んだ場合、お金を返してお引き取りいただきましょう。逆に、ネガティブのチェック項目がひとつも当てはまらないようであれば、付き合ってOK。
そして、ポジティブの項目が多ければ多いほど、そのクライアントのフォローを手厚くします。(かなり手厚くしても、ネガティブ客にかかるコストの半分もかかりません。むしろ再購入が期待でき、利益率はアップします。)
客を選ぶのは悪いこと?
こんな風に、客を切れと言うと「そんなことしていいのか?」という反論が返ってきます。
しかし、前述した通り、金銭的・精神的コストを考えると絶対にやるべきアクションのひとつです。
実際、サービスの最高峰であるリッツカールトンでは
「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」
というモットーを掲げています。
これってある角度から見れば、
紳士淑女以外は客じゃない、と言っているわけです。
また、通常のホテルと比べて、入り口が狭く入りずらい。
関係ない人は入ってこないでね、という無言のプレッシャーでしょう。
しかし、それは同時に、
お客様には徹底的にサービスします、
という姿勢を示し実行しているわけです。
まさに客を切っている訳です。
あなたはどんな客を切りますか??
【邪魔の入らない週末こそ!社長のためのアクションプラン】
うざい客の共通点を5つ以上リストアップしましょう。
そして、このリストを文字化して、「コレに当てはまる客とは金輪際付き合わない」と従業員に断言しましょう。
-北岡秀紀
追伸
名誉のためにお伝えしておくと、三波春夫さんが「お客様は神様です」と使った意図は、一般の解釈とは全く異なります。
「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです」
(「三波春夫オフィシャルサイト」から引用)
やっぱり一流の人は凄いですね~
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