From:小川忠洋
From:小川忠洋
大阪のスタバより、、、
今日はゲストとして、僕の友人の尼口さんに記事を書いてもらった。彼は、ECサイトのブランディングの専門家。個人的には日本で一番クオリティの高いサイトを作る人だと思う。「デザインできます」みたいな人はたくさん見てきたが、尼口さんに比べれば大リーガーと高校野球みたいなレベルの差である。ちなみに僕のブログ(小川忠洋公式ブログwww.ogawatadahiro.net)も作ってもらった。
そんな彼と知り合ったのは去年の「パートナー養成講座(現コピーライティング虎の穴)」やっぱこれからはデザインだけじゃどーにもならん。コピーがないとダメだと考えて、参加してくれた。(日本一※のデザイン会社がコピーがなきゃダメだ!と考えている意味を考えて欲しい)※小川の独断評価
クライアントは、リクルートやユニクロ、紀伊国屋、ローソン、資生堂など名だたる大企業。仕事が腐るほど来てるといってたので多分、仕事を依頼することはできないと思う。ってか、もしそんなスキマがあったらウチの案件をやってほしいから是非、仕事は依頼しないで欲しい。。。
さて、そんな尼口さんの記事、ECサイトの専門家として書いてもらったが、いつものダイレクトレスポンスマーケティングの話とテイストが違ってとってもオモシロイんじゃないかと思う。もし、レスポンス読者のあなたが気に入ってくれたら、これからもずっとコンテンツを作ってもらおうと思うので、ヨロシク。ではどうぞ…
ーおがわ
PS:
もちろん彼もザ・レスポンス読者だよ(^^ゞ
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From:尼口 友厚
今回はポイントインセンティブがECサイトをダメにした事例としてStylmeeを紹介したい。Stylmeeは昨年の12月にロンチされたゲーミフィケーションを取り入れた高級ファッションブランドに特化したECサイトとして注目されたが、現在はほぼアクティブユーザーがおらず完全に失敗したと言っても過言ではない。
このサイトを使うとユーザーはハイブランドの商品を購入するだけでなく、バーチャルファッションストアを開くことができる。バーチャルストアには「ゲーミフィケーション」の要素が入っており、その中の一つがポイントインセンティブで、ユーザーはサイトを使えば使うほど、ポイントがたまり、最終的にはそのポイントをリアルな商品の購入に使うことができる。このポイントインセンティブがStylmeeの敗因だ。これは楽天レシピがクックパッドにポイントインセンティブで対抗して失敗した事例に似ている。
StylmeeとはどんなECサイトか?
Stylmeeのトップページに「世界をリードするデザイナーブランドの本物の商品を使って、あなたのファッション力をためし、ほかのStylmeeメンバーと競おう!」と書かれているように、Stylmeeはグッチやルイ・ヴィトンなど有名ファッションブランドと提携し、そのブランドの商品写真の提供をうけている。
Stymeeに登録してメンバーになると、3D のバーチャル都市空間に自分の高級ファッションストア(ブティック)を開けるようになる。そこからゲームは始まる。
まず、毎週「ファッションチャレンジ」としてテーマが指定されるので、そのテーマにしたがって提携ブランドの商品から30点を選び、独自のコレクションを作って自分のブティックに飾る。もし、自分の選んだ30点の中に、Stylmeeが事前に選んだ商品10点がすべて含まれていた場合にはポイントをゲットできる。
ブティックを見たほかのメンバーが、ブティックのデザインを気に入って投票してくれた場合も、ポイントをもらえる。また、ほかのメンバーのブティックを訪れた場合にもポイントになる。
そして、その週に一番ポイントを稼いだメンバーは、Stylmeeで使える100ドル分のクーポンをもらえる。ポイントを稼ぐほど、バーチャル都市の中でのスタイリストとしての地位が上がっていき、提携ブランドから特別ディスカウントなどの特典を与えられる。
アクティブユーザーは限りなくゼロ…。
スタートした当初は、2012年のファッション系ECサイトの注目株として、eコマースやファッション関係の記事で名前を見ることが多かった。Stylmee側も「ゲーミフィケーションを取り入れることで、これまでにないショッピング体験になり、顧客のエンゲージメントを高められる」と、このビジネスモデルに自信を示していた。
しかし現在Stylmeeのユーザーランキング上位のユーザーをみてもアクティブなユーザーは一人もいない。また、Facebookページは10月4日現在で「いいね!」の数が337人、Twitterアカウントのフォロワーは784人に留まっていて、人気爆発とはほど遠い状況だ。ニューヨークのマーケティング調査会社JWTはブログで、Stylmee人気低迷の原因として「ポイントインセンティブによるユーザーのエンゲージメント不足」を指摘している。
ECサイトが報酬制度を取り入れるときは「ソーヤ効果」に注意
ダニエル・ピンク氏は著書『モチベーション3.0』の中で、報酬は人のモチベーションにネガティブな影響を与えることもあるという自説を次のように展開している。
「報酬は行動に対して奇妙な作用を及ぼすのだ。興味深い仕事を、決まりきった退屈な仕事に変えてしまう。遊びを仕事に変えてしまう場合もある。よって、報酬により内発的動機付けが下がると、成果や創造性や、高潔なふるまいでさえも、まるでドミノ倒しのようになるおそれがある。これを『ソーヤ効果』と呼ぶことにしよう(注:マーク・トウェインの『トムソーヤの冒険』のペンキ塗りのエピソードから名前をとっている)」
Stylmeeの人気低迷の一因は、「報酬制度によってソーヤ効果にはまってしまったこと」にあると考えられる。
Stylmeeが影響を受けたと思われるPinterestでは、ユーザーが別のユーザーのピンボードをくり返し訪れる理由は、そのユーザーのキュレーションのセンスにすばらしさや面白さを感じているから。つまり「内発的な動機」からの行動である。
仮にPinterestが「他のユーザーのピンボードを訪問したら、ポイントがもらえる」というポイントインセンティブ制度を導入したら、ユーザーの訪問も「ポイント狙い」の行動になり「内発的な動機付け」は薄れてしまう。そしてポイント狙いのユーザーは価格に敏感なのでロイヤリティの高い顧客にはなりにくい。
ECサイトにポイントインセンティブを取り入れようとする場合、Stylmeeや楽天レシピの事例は反面教師として参考にしてほしい。
ー尼口友厚
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